Slide_Sony_Atsugi_Tech_2020_07_10_Slide031_to_040.html

by Yoshiaki Daimon Hagiwara





ベル研の科学者が トランジスタ の生み の親 ( Mother ) とするなら、
Sony の 岩間和夫さんは、トランジスタの育ての親 ( Father ) と 呼べます。

技術の進歩は、発明者(mother) と 開発者(father) の 両方が不可欠です。

物理学の進歩でも、 理論家(mother)  と 実験家(father)  が 不可欠ですが、

人類の文明の進歩でも、 個人のひらめきの発明創造力 だけでなく、 
資金と、人材と、時間をかけた、開発・勤勉・努力 の 両方が不可欠です。






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Slide031

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萩原の1975年の特許の請求範囲は基板にPNP接合トランジスタ型の
受光素子でベース領域を信号電荷の蓄積部として隣接する電荷転送
装置(CCDでもCMOS型でもOK)に信号電荷を転送すること
を特徴する半導体受光素子の構造特許です。

●さらにこれは実施図6において、金属配線えはピン止めされて
Pinned Photodiodeの発明でもあることを明示しています。




●また実施図6には、Empty Potential Well の完全空乏化した電位
曲線と電荷が蓄積した場合の水平電位線(破線)を明示しこれが
Dynamic 動作をするPhoto Transistor型受光素子であることを明示
しています。

●SSDM1978の論文では萩原は金属配線を使用しないで
隣接するP+の濃いChannel Stopsを受光素子に形成することに
より、受光素子表面のP+層の電位をピン止め固定しています。



●これは半導体産業人協会歴史館のWEB掲載記事の図と同じです。



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Slide032

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萩原は最初にPPDを考案したのは実は裏面照射型のPPDでした。
萩原がPPDを発明し最大の目的は残像特性の抑圧ではありません。
最大の目的は感度の向上です。裏面にしてまず感度を向上するのが
最大の目的です。また青色短波長の感度向上が最大の目的でした。

青色短波長はシリコン結晶の中を 0. 2 ミクロ以上透過しません。

そのな表面で空乏層を形成することは1975年のプロセス技術では
無理です。多分今でも無理です。そんな近傍を空乏化しますと
シリコン表面の再結合順位が刺激され表面暗電流が発生する心配
があります。その心配を解消するために表面近くをN+N濃度
勾配にして、その濃度勾配によるバリア電界を利用して電子と
HOLEの電界分離を実現することを考案しました。




この裏面照射型の Origial PPD 特許 1975-127647が今の裏面照射
型の3次元集積化のStack Multi Chip 構造の、未来の Image
Sensorに最適です。それで去年10月には、奈良部さんは江崎さんの
ご支援を得て 3次元の集積回路の国際会議 3DIC Conferenceで
論文を発表することができました。

下図は1975年の10月の出願特許です。上図をヒントにVOD付きの
PPDの特許を1975年11月に発明し特許出願しました。



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Slide033

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Drive Transistorと Load Transistor を直列に連結して

Drive Transistor に入力信号を入れたのが inverterderです。


話は変わりますが、みなさんは CMOS Imverter回路は周知ですが
萩原が学生時代はまだ Bipolar 回路が主流で、負荷は抵抗体R
でした。そして大学院に入ると Intel社が PMOS Transistorで
Enhancement MOS すなわち、しきい値電圧 Vth が電源の同じ
符号の値のゲートで電圧をかけてやっとONするMOS Transistor
と、Vthの値の符号はその逆の Deplation MOS Transistorが
ありました。 Intel社は、Enhancement MOS を Inverter回路の 
Drive Transistorとして使用し、Deplation MOSを Inverter回路の
Load Transistorとして使った、E/D inverterをデジタル回路の
基本回路として PMOSの デジタルICを商品化して、
IBMなどの大手のCOMPUTERの会社に、磁気コアメモリ
の置き換えを目的にDRAMメモリ回路を商品化していました。

萩原は大学年の時に使った教科書が Andy Groveが書いたこの
Physics of Semiconductorという本でした。Prof. James McCaldin
に教えていただきました。かれは TRW社で勤務する研究者
でもありました。TRWは母校の3人の卒業生が創った会社です。
この教科書の著者のAndy Groveは、萩原の母校の先輩のGordon
Mooreが設立して Intel社で採用された最初の社員でした。後に
Intel社の社長も歴任しています。
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Slide034

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Drive Transistorと Load Transistor を直列に連結して

Drive Transistor に入力信号を入れたのが inverterderです。

逆に、Load Transistor に入力信号を入れた回路もあります。

それは Source Follower 回路と呼ばれるものです。

アナログ信号の大きさに比例して大電流出力を取りだす事が
できる便利な回路です。

Intel社は最初は 3T 型の MOS回路で メモリICを
商品化しましたが、後に1T1C回路で DRAMを商品化し
IBMという大口顧客を獲得し急成長しました。




Image Sensorの世界でも同時に進歩がありました。

当時はまだ CCDが発明されておらず、 MOS型電荷転送装置
が主流でした。しかし、Clock 配線容量Cや熱kT雑音が大きく、
MOS型電荷転送装置はCLOCK雑音があり、縦筋などが入り大変
醜いものでした。それで、受光素子に絵素ごとに souce follower
回路をつけることを 英国の Plessy社に勤務の Peter Nobleは
考案しました。しかし、各絵素にはこのAcive 田流AMP回路は
組み込みことは不可能でした。まだまだ、MOSトランジスタ
が大きすぎたからです。21世紀まで待つ必要がありました。

しかしSONYの岩間さんは待つ気持ちは毛頭ありません。
それで岩間さんはCCDが発明されるとそれに飛びつきました。


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岩間さんは ベル研から Tranisistorの特許を購入するため
井深さんと1954年に渡米してベル研を訪問しています。
その時にベル研の研究者の紹介で、第1回目のISSCC1954に
出席しています。その時の出席者の名簿に岩間和夫さんの
名前が記載されていることを奈良部さんが見つけてSONY
社内で報告してくれました。



ベル研の科学者が トランジスタ の生み の親 ( Mother ) とするなら、
Sony の 岩間和夫さんは、トランジスタの育ての親 ( Father ) と 呼べます。

技術の進歩は、発明者(mother) と 開発者(father) の 両方が不可欠です。

物理学の進歩でも、 理論家(mother)  と 実験家(father)  が 不可欠ですが、

人類の文明の進歩でも、 個人のひらめきの発明創造力 だけでなく、 
資金と、人材と、時間をかけた、開発・勤勉・努力 の 両方が不可欠です。






そして、20年後に萩原はPhDの学生論文をPhiladelphiaの
ISSCC1974で発表しています。埋め込み型CCDの電荷
転送動作の解析報告でした。埋め込み型CCDの転送効率
は99.999%にもなり、暗い被写体に対して雑音の少ない、
超感度ビデオカメラとしての将来性について論説しました。

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これは萩原が1971年の夏にSONYの厚木工場で実習して
いた時の実験ノートに描いた Bipolar Transistorの
抵抗負荷型 Linear 増幅回路の Sketch回路図です。






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1971年の6月から9月末までSONY厚木工場で実習の後、
萩原はCaltechの戻り大学院1年生となり、Prof. C. A. Mead
から本格的に Intel社が開発商品化したPMOSプロセス
技術の詳細を授業で学びました。当時CALTECHは
INTEL社と世界で初めての産学共同研究をしていました。

INTEL社が CALTECHの卒業生が中心になり
戦力となり大きく成長した会社だったので当然でしょう。



そこで萩原は128ビットの高速並列処理data stream
比較回路を設計しました。そのCAD TOOLの
設計技術から、MOSプロセスから、半導体デバイス
物理から、デジタル回路の設計知識まで習得しました。

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Slide038

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128 bitの2つの DATAを瞬時に比較判定するデジタル回路
です。これは今でも、画像認識、音声認識の基本 ENGINE
回路であることはあきらかです。アナログ信号をデジタル
信号に変換して今はデジタルで信号を処理して人工知能の
処理系が構築されていますが、その基本の基本回路です。

128 bit を、横に 16 bit たてに 16 bit にすると面情報の
比較回路としても利用できます。

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Slide039

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萩という漢字も128bitのData 比較回路があれば瞬時に認識
できる algorithmを開発することは直観的に容易であることは
この図から推定することが可能です。

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ここで当時1972年に萩原が学んだ Intel社のPMOSプロセス
を紹介します。こんな構造になっていました。

ちょっと変でしょう?

●埋め込みN層はイオン打ち込みで形成します。

●イオン打ち込みはそのピーク濃度を基板奥深くに設定が可能です。

●コンタクトは小さく酸化膜の窓開けしますが、
 その小さい窓だけに濃い拡散のP+層を形成します。
 そのP+層のピーク濃度はどうしてもシリコン表面となります。

●一方の埋込みN層はピーク濃度の位置はシリコン表面近くでは
 なく、シリコンの奥深くにピークを持たせることが可能です。

●この構造は後に、 Lightly Doped Drain と呼ばれる構造ですが
 どうも Intel社はこれを特許にしていなかった様です。
 この構造を10年以上経てからIBMの研究者がIEDMの学会で
 LDDと命名し学会発表し、IBMが特許出願したと記憶していますが
 あまり確信はできません。特許は萩原はあまり当時関心が薄いでした。




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いずれは Image Sensor Storyとして 一般の文系の人でも
理解できる内容として、和文で本を一冊出版したいです。
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また、その英文も出版したいと希望しています。

本書にはDVDを教材としてつけたいです。

今回の7月10日に収録した講演の録画内容をもし可能なら
つけたいです。できばえ次第ですが、、

これは日本の半導体産業の再起に対して、人材育成は最重要
課題です。優秀な夢ある半導体技術者を育てることが萩原の
残り少ない人生の最大の使命と感じています。この歳まで
健康でいられて感謝感謝です。一緒に仕事をしてきた仲間や
先輩や萩原を守っていただいた、SONY TOPの方々、
SONY中研時代に萩原の親切に歓迎してくれた岩田三郎さん
や塚本さん、CCDの開発の職場の仲間の粂沢哲郎さん、CCD
のプロセスでたいへんお世話になった、阿部元昭さん、国分工場
立ち上げた小笠原さん、高橋本部長、山田中研所長、河野本部長、
SONYマグネスケールの仕事をいただいた森園副社長をはじめ、
大賀会長、岩間社長や、また、私とSONYの縁をつないでくれた、
大先輩の前田尚利先輩(前田多門の孫)や樋口先輩(樋口工場長
の息子さん)のお顔が浮かびます。

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この講演に関する参考図書
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(1) 人工知能パートナーシステム(AIPS)を支える「デジタル回路の世界」
    萩原良昭著 青山社 ISBN978-4-88359-339-2

(2) 「伝説ソニーの半導体」その栄光の軌跡そして未来への構図
  泉谷渉、川名喜之著 産業タイムズ社 ISBN978-4-88353-290-2 C3055

(3) 「イノベーションの成功と失敗」 武田 立、瀬戸篤著、
   同文館出版 ISBN978-4-495-38571-2

(4) 「技術の系統化調査報告」 国立科学博物館、
   Volume 29, March 2020, ISSN 2187-462X  

(5) 「ソニー初期の半導体開発記録」 企業戦略と発展の原動力
    川名 喜之 著    美研プリンティング株式会社 (非売品)

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この講演のSlideの詳細解説文を掲載しています。

http://www.aiplab.com/Slide_Sony_Atsugi_Tech_2020_07_10.html

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Slide 001 ~Slide 119 まであります。

これから Slideの説明文を用意します。

来週の水曜日には準備できると思いますので、
聴講する方は事前に復習して、質問を1つ用意
してください。講義の間に、居眠り防止用に
聴講者に質問を聞きたいと思っています。。。

予習してください、これは大学の授業の延長です(笑顔)。。。

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hagiwara-yoshiaki@aiplab.com ( http://www.aiplab.com/ )

hagiwara@ssis.or.jp ( http://www.ssis.or.jp/en/index.html )

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