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半導体産業人協会主催  

      
2019年度春の半導体ステップアップ講座


 
イメージセンサー(賢い電子の目) の講義 Slide (01〜32) の補足資料です。

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参考文献     return to  http://www.aiplab.com/

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参考書名の紹介です:  半導体物性から動作原理をわかりやすく紹介し
                賢い電子の目を支える人工知能システムに
            不可欠な半導体集積回路の基礎技術を解説しています。 

   
人工知能パートナー(AIPS)を支える

     
デジタル回路の世界   

          萩原良昭 著


       ISBN 978-4-88359-339-2 C3055

        本体 9000円+税 

  B5サイズ 上製 475ページ (ハードカバー)

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        書籍の出版社の紹介  


    TEL: 042-765-6460(代)     青山社

      https://www.seizansha.co.jp/ISBN/ISBN978-4-88359-339-2.html 



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Slide 01 イメージセンサ (賢い電子の目)  講師紹介

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半導体産業人協会 教育委員

神奈川工科大学 情報学部 情報工学専攻 非常勤講師

元 崇城大学 情報学部 情報学科 教授
 
ソニー(株) 半導体技術企画室長

工博 IEEE Life フェロー 萩原良昭


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Slide 02   目次

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●まず、この解説内容「賢いイメージセンサ」の目次です。

1.イメージセンサとは

2.イメージセンサの歴史と市場動向

3. イメージセンサの基本構造

4.イメージセンサの動作原理

5. 賢いイメージセンサとは?

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  撮像素子(イメージセンサー)には、

  顧客のニーズに合わせていろいろな特徴があります。

  Key Word は、resolution、つまり解像度と、

  S/N ratio、信号と雑音の比率と、

  frame rate、一秒間にテレビに描写される画面の枚数や.

  dynamic range、明暗の深さ、どれだけ gray、つまり灰色の

      諧調を写真の様にいかに忠実に表現できるかの指数や、

  shutter speed、つまりいかに高速撮影が可能か、などや、

  color reality、つまり色再現力などがあります。



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Slide 03      1.イメージセンサとは

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●その用途に合わせて、いろいろなサイズ、すなわち、

 それぞれに対応する工学系のサイズに合わせて、 
  
 いろいろなサイズのイメージセンサーがあります。



●たとえば、対角線の長さが 3.2 分の1 inch である、

 すなわち、3.2 分の1 inch 工学系レンズに合わせた、

 イメージセンサーでは、その対角線の長さが約 8 mm で、

 そのイメージセンサーの面積が 約 14.5 mm2乗のもの、

 すなわち、横が約 6.4 mm 縦が約 3.3 mmのものがあります。


●ほかにも、2.3 分の1 inch 系レンズや、

      1 inch 系レンズや、APS-C 系レンズや、


●プロが使うデジタルカメラ用の昔のfilmサイズの、

 横36mm 縦 24 mm で、面積が 864 mm 2乗の

 full size 版までがあります。さらに特注では、

 もっと大きなもので one chip が 1000万円以上する、

 hollywood の映画会社が特注で撮影するものもあります。



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Slide 04    イメージセンサ のレンズ系

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●イメージセンサとは、レンズから入った光を

 電気信号に変換する半導体(撮像素子)のことです。


●人間の目でも、人間が造る単純なカメラでも、

 レンズにより、目に入った像はさかさまに、さらに

 左右反対に結像されます。


●人間の眼でいえば、網膜に相当する部分です。


 その性能(感度と解像度)が、

 デジタルカメラで撮る写真の画質を大きく左右します。


●人間の網膜細胞組織は、いわば、高速並列システムです。

 網膜細胞の数だけ、神経線が脳のつながっています。


●実際、われわれの脳の中では、2次元平面に配列された

 脳細胞(nueron) があります。その映像信号を平面画像

 として受け取り、経験を積むと、その画像が何の画像な

 のかを認識・識別できるようになります。


●イメージセンサーは物理的には網膜細胞の2次元配列に

 対応します。その部分で光信号を人間の目でもイメージ

 センサーでも、電気信号に変換しています。


 ただし、人間の目では、網膜細胞の数だけ、脳につながる

 信号伝達用の神経線があります。高速に2次元並列処理を

 しています。しかし、イメージセンサーでは、そういう

 わけにはいきません。イメージセンサーから出る出力線

 は、たったの1本です。


 実際には、2次元に配列された網膜細胞と同様に、

 イメージセンサーでは、1つの網膜細胞に相当する

 絵素という半導体素子構造が2次元平面に配列されて

 います。


 さらに、人間の目の網膜には、赤、青、緑の色と明るさを

 感じる4種類の網膜細胞がありますが、


 イメージセンサーでは、R,G,Bの3種類のcolor

filterの膜を使って、赤、青、緑の色だけを通過

 させて、それぞれの絵素という半導体素子構造に

 光が届くように造られています。


 色の識別はカラーフィルターをチップの上に置き、

 それぞれの色の光を電気信号に変換します。



 この2次元に配列された情報を、それぞれ1つずつ

 順番に scan して出力部に伝達して取り出し、

 時系列に、時間軸に合わせて、1本の信号線から、

 時間に合わせて出る時間関数 として出力変換する

 必要があります。



 放送局から出るデジタルテレビの信号は、1本だけです。

 時間関数の信号ですが、それと同じ形式の時間軸信号に

 する必要があります。


 また時間の関数の形の信号として、放送局から電波で

 家庭のテレビに送られると、テレビの受像器が、再び、

 時間軸の1次元信号を並び変えて、再び2次元平面の

 映像信号に変換してテレビの画像として再現されます。



 ちょっと細かい話になりますが、実際には、この、

 2次元に配列された絵素情報は、イメージセンサー

 の中では、1つ1つ順にscan転送され、左下の絵素

 から順次出力されます。その結果、実際のイメージ

 センサーの chip の layout 配置 では 出力 

 AMP 回路は chipを上から見ると、通常、左下部分

 に配置されます。


 この2次元空間の絵素情報を1次元の時間関数として

 1本の信号線に出力する回路には基本的に2種類が

 あります。つまり、CCD scan方式のイメージセンサー

 と MOS scan 方式のイメージセンサーです。


 2次元に配列した網膜細胞に相当する絵素情報を

 どのようにscan するかで、CCD 方式と MOS方式

 の scan 方式がありことになります。



 CCD とは、 Charge Coupled Device 、つまり、

 電荷結合素子のことを言います。また、この場合、

 MOS とは、Metal(金属) Oxide (酸化膜)と

 Semiconductor(半導体)のことを意味します。



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Slide 05 イメージセンサ の歴史と市場動向

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次に、イメージセンサをつかったカメラ市場の歴史と

今後の市場動向について説明します。


2000年に入り、スマフォが占める割合が

ますます大きくなってきています。


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Slide 06 イメージセンサ の歴史について 1978年

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●1969年に、CCDは米国のベル研究所で発明されました。


CCD、つまり、Charge Coupled Device は、

もともと イメージセンサーとしてではなく、


シリコン酸化膜上に多数の転送用電極(MOS容量アレイ)

を配列し、信号電荷 (電子のかたまり) を転送する、

半導体デバイスとして提案されました。


つまり、アナログ信号デンタル回路素子として提案されました。



●1972年には、国内でも、 CCD構造の半導体で文字を撮影する
    
 ことに成功しています。ソニー中研でも、8x8=64画素で、

 Sの字をオシロスコープに表示することに成功しています。


●1978年には、Camera と Video Recorderを一体化した 

 CCD カラーカメラの商品化の動きが本格化しました。


●1980年にはソニーから2チップ構成のカメラが商品化され、

 全日空ジャンボ機に離着時の模様を機内スクリーンに

 映すことに成功しています。


 当時、ソニー国分工場でCCDイメジャーの量産が始まり、

 私も、そのCCDイメジャーの開発設計者の1人として

 当時従事していて、よく羽田空港と鹿児島空港を生産

 立ち上げの為、出張で往復していましたが、その時に、

 乗った全日空ジャンボ機の中で離着時の模様を機内の

 スクリーンで見かけては、目を大きくしていました。


●1990年に入ると、CMOS半導体技術の微細化技術がさらに

 進み、微細化が進むにつれ、CMOS transistorの性能が

 さらに向上し、信号線のさらなる微細化は、信号の、

 信号対雑音比をさらに向上し、好感度のCMOS imager

 の実用化が進み、CMOS imagerの市場独占につながって

 います。今では、撮像と演算回路を1チップ化も実現し、

 さらに、その上にプロセッサー専用チップやメモリ専用の

 チップを重ね張り付けた、多層チップも実現しています。

 人工知能搭載の自動運転システムへの応用が期待されます。


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Slide 07 イメージセンサの開発背景 1975〜1978

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ソニーが他社を抜いて1980年初頭にCCDイメージセンサー搭載の

ビデオカメラを商品化できたのにはそれなりに理由があります。




まず、ソニーの経営陣のサポート、特に当時のソニー社長であった、

の故岩間和夫氏の熱意のたまものです。



1978年、世界発 one chip の CCD video cameraを、

岩間社長が東京で、盛田会長がNew Yorkで同時発表しました。



当日の撮像管のビデオカメラはおろか、感度と雑音の面で、

当時の MOS video camera を 大きく引き離していました。



当時他社で採用されていた、人間の網膜に相当する受光素子構造、

すなわち、絵素構造は、従来の SiO2/N/P 構造でした。



この SiO2/N/P 構造では、受光界面が SiO2/N層の境界面となり、

その境界面は複雑な原子構造の不連続・断層構造が続き、不完全

結晶構造となり、雑音や暗電流の源となる問題がありました。



それで、ソニーは、 新たに、SiO2/P/N/P 構造の受光構造を提案

し、その N層を受光膜とした受光素子構造(絵素)を採用しました。 


この新しく提案された P/N/P 構造では、受光部分の N層は、

表面の酸化膜(SiO2)層と半導体(P層)の境界からは、奥深く、

遠ざけられることになります。その境界面の複雑な原子構造の

不連続・断層構造から、受光層の N層を守ることができました。



かつ、当時すでに周知の埋め込み型CCD構造 M/SiO2/N/P 構造の

N層と同様に、SiO2/P/N/P 構造のN層を dynamic に完全空乏化して

動作させ、受光部の残像を完全になくすことができるというアイデア

でした。なかなか難しい動作原理ですが、その動作の結果は、カメラ

の超高感度・残像なしという超高性能カメラの実現を示唆する結果と

なりました。


その技術が現在のすべてのイメージセンサーの受光構造として現在、

受け継がれています。SiO2/P+/N/P 構造の界面のP+層の中には、

主電荷キャリアである+電荷のholeが多数集結して存在する事から、

その状態をイメージして、+キャリア(hole)が集結(accumulate)した

diode 構造という意味で、商標登録され、HADセンサー構造と

呼ばれるようになりました。そして最終的にさらにSiO2/P+/N/P/N

構造とすることにより、より構造的には複雑ですが、それが実用化

され、さらに超高性能・超感度のイメージセンサーが実現しました。



●しかし、1978年に発表された当時のビデオカメラはまだまだ不完全で


 問題が山ずみでした。


 まず、570H x 498V の、画素数の少ない、 One-Chip FT CCD 型の

 Color Imagerというものでしたが、このFTとは frame transfer 型の 

 scan構造をした CCD imagerの略で、その最大の欠点は、信号転送部にも

 常時光が照射されることでした。



 強い光の点が入ると、それを縦に明るく白く線を引くことになり、

 画像の劣化は著しいものでした。


 かつ、実際の青感度を支える、1つの絵素の面積に占める受光面積も、

 その実効受光窓が小さく、感度が不十分でした。


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Slide 08 イメージセンサの開発背景 1980年

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●しかし、この試作品から2年後、1980年にはソニーから2チップ構成の

 カメラが商品化され、全日空ジャンボ機に離着時の模様を機内スクリーン

 に映すことに成功しています。


この時のCCDの撮像方式は、 1978年の試作方式で、smear が多かった

 frame transferの scan 方式 のCCDイメジャーではなく、さらに

 複雑な scan 構造をした interline方式と言われる scan 方式の 

 CCD imagerでした。


 当初、まだ、受光部には透明電極を採用していましたが、最終的には

 現在では、1978年に採用していた SiO2/P/N/P 構造、すなわち 

 HAD センサー構造となっています。





 当時、ソニー国分工場でCCDイメジャーの量産が始まり、

 私も、そのCCDイメジャーの開発設計者の1人として

 当時従事していて、よく羽田空港と鹿児島空港を生産

 立ち上げの為、出張で往復していましたが、その時に、

 乗った全日空ジャンボ機の中で離着時の模様を機内の

 スクリーンで見かけては、目を大きくしていました。


 しかし、このinterline方式でも、

 
 実際の青感度を支える、1つの絵素の面積に占める受光面積は、

 その実効受光窓が小さく、まだまだ、感度が不十分でした。


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Slide 09 イメージセンサの歴史と市場動向

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      ソニーと東大が、高速撮像・演算を1チップ化し、 

  自動運転用に応用 という見出しで、
  
          2017年2月7日(火)の 日刊工業新聞の

            第1面 TOP に掲載されました。

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ソニーと東京大学は1000分の1秒単位で撮影しながら画像処理する

高速撮像演算チップを開発したと発表しました。1秒当たりの演算回数は

1400億回となります。撮像素子と演算素子を積層して1枚のチップに

したもので、さらに、実際には、撮像素子は、CCD の信号 scan 方式で

はなく、単純に CMOS memory デバイスの信号scan方式と同様の、いわば、

古くからある、MOS imagerの scan 方式を採用したものとなっています。



MOS transistor の商品化は 1970年代に 4 bit マイコンを

 商品化した米国 intel社に始まりましたが、1980年代には 8 bitの

マイコンが商品化され、1990年代にはさらに 16 bit プロセッサーが

 登場し、Windows95 をOSとしてパソコンが市場を独占し始めました。

 2000年には 32 bitの、2010年には 64 bitのパソコンが登場しましたが、

 2020年には 128 bitのパソコンが登場することでしょう。



それに刺激され、ますます、CMOS半導体技術の微細化技術がさらに

進み、微細化が進むにつれ、CMOS transistorの性能がさらに向上し、

CMOS imager の性能も向上していくことでしょう。


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Slide 10 イメージセンサ の市場動向の推移 2009〜2016

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     CMOSイメージセンサ(CIS:CMOS Image Sensor)

         の産業は、急速に変化しています。

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携帯電話機市場と自動車市場にけん引されて、CIS市場は2014年から

2020年の間に年平均成長率(CAGR)10.6%で成長し、2020年までに

162億ドルの規模になると見込まれます。


大きなビジネスチャンスが出現した応用分野は、自動車と医療機器、

そして監視カメラといったところです。安全性を高める用途だけでなく、

イメージングを「自動化」する用途に使われるためです。

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Slide 11  CMOS image sensor の製造企業

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ソニーと韓国Samsung Electronics社、そして米国 OmniVision  

Technologies社の3社の市場占有率は2016年には合計で 78% に

達しています。そのうち、ソニーが45%、韓国Samsung Electronics社

が21%、米国 OmniVision  Technologies社が 12% です。




設計・製造技術の進化が CMOSイメージセンサの性能向上を推し進め、

それにより CIS の応用事例にも 変化が生じています。

スマートフォン が 小型カメラに取って代わり、そして アクション

カメラ がビデオカメラに取って代わろうとしています。


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Slide 12 イメージセンサ の基本構造

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イメージセンサーには、レンズと受光面との間に信号処理回路の層がある

従来型の 表面(front)照射型と、レンズのすぐそばに受光面があり、

信号処理回路の層がレンズから一番遠い位置にある、裏面(back)照射型が

あります。

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Slide 13 MOS image sensor 型の電荷転送方式について

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         Passive 方式の MOS イメージセンサ は、

        MOS  transistor  switch 回路の集合体です。

        その信号 scan 方式は、MOS memory 回路の

        信号読み出し scan 方式とよく似ています。

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受光部の容量に保存された信号電荷が単純に金属配線を通じて

出力AMP回路に入ります。


単純に金属配線を使った転送部 (垂直転送部と水平転送部)を

通して、受光部で発生した電荷を 順番に scan して 

switchを ON にして、 BBD modeで 転送します。


金属の配線容量Cが非常に大きい問題があります。


その結果、配線容量Cに比例した、CkT 雑音なるものが、

たいへん大きくなります。


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Slide 14   CCD image sensor 型の電荷転送方式

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       Interline 方式のCCDイメージセンサ では、


        金属配線ではなく、 MOS capacitor の1次元配列

        の集合体で、シフト・レジスターと呼ばれる回路

        構造で絵素の信号が、選択scan され、出力回路へ

        転送されます。

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CCD転送では多数のMOS容量のchain で信号電荷をCCD shiftregister で

転送するので出力の容量がたいへん小さくできます。


従って、CkT雑音なるものも非常に小さくなり、雑音が少ない、好感度の 

CCD imagerが、1980年代の半導体技術でも製造が可能でした。


それで1990年から2000年にかけては、カメラと言えば、CCDイメージ

センサーが主流の時代となりました。


しかし、その後、半導体の微細化技術が非常に進歩し、微細化により、

配線容量Cがさらに低減され、実用に耐えるレベルまで CkT 雑音を

抑えることが可能となりました。CIS の時代の到来です。


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Slide 15   Active 方式CMOS image sensor の動作

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        Interline 方式のCCDイメージセンサ と

         Active 方式 CMOSイメージセンサ 

        の信号電荷の scan 方式の違いの説明です。

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●まず、第1 scan 段階では、

 *Interline 方式のCCDイメージセンサでは、


@各画素部の受光構造で光を電荷に変換し信号電荷の

 かたまり(charge packet)として接合容量に蓄積する。


また、Active 方式 CMOSイメジャーでも同様です。


@各画素部の受光構造で光を電荷に変換し信号電荷の

 かたまり(charge packet)として接合容量に蓄積する。


両者に接合容量として、 SiO2/P+/N-/P/N 接合容量を

使い、受光層 N- 層 を P+/N-接合と N-/P接合で

両側から保護します。これにより低雑超感度の受光構造

が実現します。




●第2 scan 段階では、 


 *Interline 方式のCCDイメージセンサでは、
 

   Aすべての画素部の信号電荷は同時に垂直CCD

     registerにCCD転送modeで転送されます。
    
 
 「全画素同時露光一括読み出し」scan方式といいます。


 *Active 方式 CMOSイメジャー では、


A一行ごとにword line switchを通して、各画素部の
 
信号電荷は、Passive方式では、BBD転送modeでその

 まま垂直金属線に流しこまれますが、Active方式では

  各画素部に装備された処理回路で信号電荷は直接電圧
 
  に変換されその電圧値が垂直金属線に伝達されます。
  

  「ライン露光順次読み出し」scan方式といいます。



●第3 scan 段階では、 



 *Interline 方式のCCDイメージセンサでは、
 

  B垂直CCD registerに移された信号電荷のかた

  まりは1行ごとに水平CCD registerにCCD転送

  modeで転送されます。



 *Active 方式 CMOSイメジャー では、


  B各垂直金属線(bit line)の端子にはswitch雑音を

   除去する(CDS=correlated double sampling) 回路

   が装備されており、各信号電圧は雑音を除去された

   後一時容量に保管され、順位、列選択(bit line)

    switch を通して水平金属線に伝達されまず。





●第4の最終 scan 段階では、 



 *Interline 方式のCCDイメージセンサでは、
 

  C水平CCD registerの信号電荷を順次に最終段

  の出力回路の入力端子(端子容量Cが小さい)

  が受け取り、信号電荷を電圧に変換され(V=Q/C)、

  さらに増幅され画像処理回路に送られます。

  CkT雑音が小さいです。低照度でも雑音が少なく

  感度がよい結果となります。しかしCCD転送の

  特有の問題である、信号電荷の転送効率に限界が

  あります。転送効率は良くても 99.999%程度で、

  1000回CCD転送すると、約1%の電荷の取り残し

  が生じ、画像の混色劣化が生じます。




 *Active 方式 CMOSイメジャー では、


  C水平金属線の信号電圧を順次に最終段の出力回路の

  入力端子(端子容量Cは大きい)が受け取り、信号電荷

  を電圧に変換され(V=Q/C)、さらに増幅され画像処理
 
  回路に送られる。CkT 雑音が大きくなります。しかし、

  CMOS半導体技術の微細化が進み、配線容量Cの値が

  激減して実用化レベルに至るようになりました。


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Slide 16   いろいろな受光素子構造と固体撮像装置

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非常にたくさんあります。ここでは辞書の代わりに列記し

  名前を並べておくだけにします。1つ1つを説明する時間

  はありません。興味ある人は、いろいろ専門書やWEBで

  自分で調査し学習していただければ幸いです。また何か、

  質問があれが、正確な答えを提供できるかどうかは自信
  
  ありませんが、どしどし、私に連絡を入れてください。



●いろいろな受光素子構造

   光電子増幅管 (Al)

   PIN photo diode (Si)

   pinned photo diode(Si)

   Avalanche Photo Diode (Si)

   高周波数 FET (GaAs)

   Gbps 光通信 (InGaAs)

   光伝導Cell (CdS)



●いろいろな電荷転送素子の構造


  CTD = Charge Transfer Device


Charge Transfer Deviceの代表として、CCD構造がある。


  CCD = Charge Coupled Device



またCCD構造には、 


(1) SCCD構造


   Metal/SiO2/P 構造で、SiO2/P の界面の反転層の

  電荷(電子)を dynamic に転送する方式の

  表面転送路( Surface Channel )型 の CCD 構造 と、


(2)BCCD構造


   Metgal/SiO2/N/P構造で、埋め込み N 層の

   電荷(電子)を dynamic に、完全空乏化

   状態も可能とする転送方式のもので、

   埋め込み転送路 ( Buried Channel) 型CCD構造がある。




BCCD構造 が考案される前には BBD構造(バケツリレー転送)が

あっりました。BBD構造は、従来のMOS半導体プロセスのままで

製造可能で、CCD構造は特殊なプロセスを必要とした。その開発

の背景は幾多の試行錯誤があったが、結局半導体プロセスが単純な

BBD構造(MOS Switch回路のおばけ)が生き残ったことになる。



   BBD (Bucket Brigate Device)

   PCD (Plasma Coupled Device)

   CSD(Charge Sweep Device)

   CID (Charge Injection Device)

   CPD (Charge Priming Device)

   CCD (Charge Coupled Device)

   CMD(Charge Modulation Device)

   BASIS(Base-Stored Image Sensor)

   MOS image Sensor(Passive, Original)

   CMOS image Sensor(Active Pixel Sensor)

   AMI (Amplified MOS Intelligent Imager)


●まず、基本構造の材料となる、

   (1)金属と、(2)絶縁体や、

   (3)抵抗体と(4)半導体

 の性質を理解することも必要となります。


●原子の周期表から見える半導体の材料を探そう。


 III groupの原子 --> B(5), Al(13),Ga(31),In(49),Ti(81) 

  IV groupの原子 --> C(6), Si(14),Ge(32),Sn(50),Pb(82) 

  V groupの原子 --> N(7), P(15),As(33),Sb(51),Bi(83) 

VI groupの原子 --> O(8), S(16),Se(34),Te(52),Po(84)


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Slide 17 イメージセンサ の動作原理

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     イメージセンサーの chip 構成は、

    まず、イメージセンサーの chip1枚から、

    ADC ( A/D converter回路 )の chipとの

    2枚張り合わせ構成になり、さらに、その下に、

    3枚目の processor chip が重なり、さらに、

    その下に、memory chip が多層に重なる構造に

    進化している。

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Image Sensorの機能は大きく分けて、

(1)Photodiode 、すなわち、光を電気信号に変換す超感度低雑音の受光素子構造、 と、

(2)電荷転送部(CTD=Charge Transfer Device) 、すなわち、信号電荷を受光素子部の信号蓄積部から、
  信号処理する中央処理システム(大脳)に送るの基本部品で構成されます。

電荷転送装置(CTD)として、1980年〜1990年代には、CCDが Super Star でしたが、2000年以後は、
In-pixel Active Source Follow Current Amplifier Circuit 内臓の CMOS 型の電荷転送装置(CTD)
が主流となり、CCDは、もはや、固体撮像装置には不要な存在となりました。

上の図は、超感度で低雑音の受光素子構造としてはCCDは欠点だらけであることを明示しています。

萩原は、CMOS プロセス技術の微細化について、学生時代から、萩原の大学の先輩で Intel社の創設者
でる、 Dr. Gordon Moore と、その同窓生の友人である、 Prof. C.A. Mead (萩原のPhD論文の指導官)
から、いやという程、教え込まれていました。CCDが、メモリー素子として全く役に立たないことも、将来、
CMOS技術の微細化が進めば、必ず、CMOSが勝つことも、予想されていたことでした。



そこで、萩原は、1975年、このCCDの欠点を補うために、SONY original HAD sensor を考案しました。

1984年にやっと自社開発に成功しました。その量産技術を世界に先駆けて確立しイメージセンサー
市場を独占制覇に成功しました。一方、その量産技術確立に失敗しイメージセンサー市場参入を
NECはあきらめました。この時点で、SONYのイメージセンサー市場での独走が確実となりました。

SONY original HAD sensor 構造を実現するには、CCDの主要技術のMOSプロセス技術だけでなく
HAD sensor 構造が、 P+NPNsub接合のサイリスタ―構造であることから、 Bipolar Transistorの
プロセス量産技術も不可欠でした。SONYは運よく、世界で最初にBipolar Transistorのプロセス量産
技術を確立し、世界の小型トランジスタ・ラジオの市場を制覇した歴史がありました。その経験が生か
されて、はじめて、SONY original HAD sensor 構造を採用した、世界発の超感度超低雑音の Image 
Sensor の開発量産化に、1984年やっと、SONYは成功しました。 

その道取りはきびしく、SONY社内でも、初期のHADsensor の開発にひるみ、安易な構造であった
透明電極で横型OFD型を主流とする方針が選択されていました。また、その構造で、ANA全日納入
実績があり、ジャンボ機への搭載実績もありました。あることに成功していると、なかなかそれに
こだわり、なかなか、新しことに挑戦できないのが、人間の心情でした。しかしそれでも、開発部隊
から離れて、ただ無力にも、萩原が見守る中、萩原が教育し指導してきた、若いSONYの開発技術者
仲間たちの手で、SONYの半導体TOPを説得し続け、1984年には、世界で初めて、SONY original
HAD sensor の開発・量産技術が確立しました。


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Slide 18  金属の物理モデルと半導体禁制帯(Energy Gap)について

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      まず、原子構造、すなわち、原子核と電子の様子と、

     太陽系、すなわち、太陽と惑星の類似の話から始めます。


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●軌道電子の物理モデルは地球や火星などの軌道惑星に類似します。



●たとえば、ヘリウム原子の場合、ヘリウム原子の中の

 2つの電子のSPIN(自転)は、ヘリコプターの

 2つの羽、お互いに反対の回転(SPIN構造)をとり、

 回転もモーメントの和がゼロとなり安定している状態に

 類似します。


●アルミ原子の中にある軌道電子の物理モデルから、

 金属の物理モデルが生まれる。すなわち、金属を

 「器に入った水モデル」にたとえます。


 器に入った水は、太陽光を浴びるといずれ温かくなり

 熱を吸収し、水の分子が元気になり、蒸発して、器の

 外に飛び出し、器の水が空になります。同様に、金属

 に光を照射すると、金属の中の電子が、光を吸収して

 元気に動き回り、元気あまった電子は、金属から飛び

 出すことがあります。



 その状態は、地球の引力圏からロケットが宇宙の自由

 空間に飛び出す脱出エネルギーに対応します。金属の

 器のふちの高さが、脱出エネルギーに対応し、その

 エネルギーの大きさは、半導体の禁制帯(Energy Gap)

 に対応します。半導体物理にはいつも付き物で、なか

 な直感的に理解が苦しむ禁制帯(Energy Gap)の基本

 概念となります。


金属原子核の引力圏の脱出エネルギーはあまり大きく

ありません。しかし、半導体物質の母体となる Silicon

原子となると、そのSilicon原子核の引力圏から軌道電子

 が脱出するエネルギーの大きさは 約 1.1 eV になります。



さらにそれが SiO2 などの絶縁体となると 4〜5 eV

 ともなり、なかなか、このエネルギーを個体の中では

 電子は持つことができず、絶縁体は文字通り、電気を

 通さない物質であることになります。


 電子が光からエネルギーをもらうと、光のエネルギー

 が減少します。光も電子と同様に粒子と見なすと、

 玉突きと同じ古典物理モデルの数学ベクトル演算で

 記述が可能となり、反射光の角度と波長の関係から

 電子の質量が求まることになります。


 また、光の粒のエネルギーは波長に反比例することも

 確認することができます。


 世にいう、光電効果と言うものです。



それを最初に提唱したので Albert Einsteinです。

 彼は相対性理論で有名ですが、まだ当時、相対性理論

 は難しく一般に理解されておらず、この光電効果で、

 彼はノーベル賞を受賞することになります。


 Compton波長(光子)と電子が光からエネルギーを

 吸収する様子は 今では常識ですが、当時にとっては

 大発見でした。



 目から入った光のエネルギーが、網膜細胞の中の電子が

 吸収して電子が元気になり、それが刺激信号となり、

 神経線を通って脳細胞が刺激されて人間はものを見る

 ことができるということですが、今では常識ですが、

 当時にとっては大発見でした。


 同様に人間が造るイメージセンサー構造でも、レンズから

 入った光のエネルギーが、受光絵素構造、すなわち、

 SiO2/P+/N-/P/N 構造の N-層に電子が励起し蓄積され

 それを MOS memory の scan 方式で 外部出力端子に

 時系列に2次元配列の絵素情報が一次元時間軸に配列され
 
 て外部に転送されということに現在つながっているのです。



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Slide 19 金属(鏡)は光を反射する。光を通さない。

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       鏡の断面構造

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鏡はどうして光を反射するのでしょうか?


まず鏡の断面構造の説明から始めます。


典型的な鏡は、片面は、絶縁体である SiO2などの

ガラス層が約 5 mm ほどの厚さで保護されています。

このガラス層は光を通します。SiO2の原子に含まれる

電子はしっかりと強い原子核の引力に縛られて原子核

の軌道から飛び出すことができません。光は結果的に

電子にエネルギーを奪われることなくガラスの様な

絶縁体を通過していきます。しかし、鏡にはこのガラス

の絶縁体の下に 80 nm ぐらいの銀メッキ膜と 40 nm

ぐらいの厚さ銅メッキ膜が施されています。その下には

下からの光を吸収し上部に通過しない様にした光吸収体

を含んだ塗装幕が 50 um ほど塗った構造となっています。


鏡の表面で、光の粒、光子(すなわちエネルギーの粒)が

銀メッキ膜の中の銀の原子核の中にあるたくさんある軌道

電子とぶつかり、光の粒のほとんどが玉突きボールの様に

はね返され、鏡の表面で反射して出ていきます、それで

私たちは鏡で自分の姿を見ることが可能となります。


金属は光を反射します。光を通さないということになります。

鏡がそのいい例です。


金属(銀)には自由電子( e- )が多数存在します。

銀の原子の中の電子(e-)と衝突して光子が跳ね返る

ことになります。




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Slide 20 電荷を運ぶ粒子には2種類ある。

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N型とP型の半導体の性質について

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●ガラスの様な絶縁体にはガラスの中の原子の間をふらふらと

 移動できる自由電子は存在しません。


●またシリコン原子の結晶体のような半導体の物質では、

 普通抵抗値がかなり大きく電気をあまり通さず、

 シリコン原子の結晶体の様な、通常の半導体の結晶体は、

 通常絶縁体に近い、電流を通さない高抵抗状態にあります。



●しかし、N型とかP型とか呼ばれる半導体結晶となると、

 話は変わります。つまり、電流を通さない高抵抗状態から、

 その抵抗値を人間が自由に調整できる物質になります。

 
 たとえば、シリコン結晶体に、V groupの原子のを不純物原子

 として添加するとN型の半導体物質となります。電流を通す

 電荷キャリアはマイナス(negative)の電荷を持った電子です。



 V groupの原子 --> N(7), P(15),As(33),Sb(51),Bi(83)






●そこで、まず、N型半導体というものの性質について説明します。


 これには、第4族の原子と 第5族のの原子が関係します。


  IV groupの原子 --> C(6), Si(14),Ge(32),Sn(50),Pb(82) 

  V groupの原子 --> N(7), P(15),As(33),Sb(51),Bi(83) 


 たくさんある第4族の原子の原子の中に、第5族の原子を少々

 加えると、第5族の原子は電子が1個余分にあるような形になり

 まわりの第4族の原子の影響を受け、不安定となり、第5族の

 原子から電子が1個飛び出し、それが自由電子となり、第4族

 の原子の結晶体の中をふらふらと浮遊します。



たとえば、シリコン(原子番号 14 )の結晶体に造る時にシリコンより

原子番号が1つ大きい リン(原子番号 15) や、リンと同じ第5族の

ヒ素原子 As(33) を不純物原子として少々添加して結晶成長させると、

N型半導体という物質になります。


リン原子やヒ素原子の一番外の軌道にある電子が、原子核から飛び出して

自由電子となり、シリコン結晶体の中をふらふらと浮遊し始めます。



その様子は、空っぽの箱の中に玉が1つ自由にころがっている様子に

対応します。



この自由電子の動きが、電荷の流れとなり、シリコン半導体の中で

電流が流れはじめることにつながります。実効的にシリコン結晶体の

抵抗値を下げて、電流が流れやすい状態を作ることになります。


このタイプの半導体を慣例で N型半導体と言います。語源の歴史的

な由来は PやAs原子は余分な電子を1つ供給するもの(donor)として

働くことになり、donorという文字の中の n を もじってN型半導体

としたのが歴史的な由来です。


しかし、もっと理解しやすい方法は、この場合の電流のもととなるのは、

この場合、電子で マイナスの電荷 (negative charge) を持つので、 

negativeの頭を取って、N型半導体とする方法です。 



●次に、P型半導体というものの性質について説明します。


 これには、第3族の原子と 第4族のの原子が関係します。


 III groupの原子 --> B(5), Al(13),Ga(31),In(49),Ti(81) 

  IV groupの原子 --> C(6), Si(14),Ge(32),Sn(50),Pb(82) 



 たくさんある第4族の原子の原子の中に、第3族の原子を少々

 加えると、第3族の原子は電子が1個不足しているような形になり

 まわりの第4族の原子から電子を1個盗み取り、第4族の原子の

 ふりをし安心します。しかし、電子を1個盗まれた、第4族の原子

 は、もともとは中性でしたが、負の電荷を持った電子が1個盗まれて

 電子1個ぶんの電荷が不足し、その結果、正の電荷 ( Positive

Charge) を帯びた原子、つまり+イオン原子となります。これが

 P型の半導体となります。また、電子1個不足したこの+イオン原子

 のまわりにはたくさんの中性の第4族の原子があり、その中性の第4族

 の原子からいつでも自由に電子を1個盗んで中性に戻ります。結果的に

 +イオン原子の状態、軌道電子が1個不足し、穴(hole)があいた状態が

 自由に第4族の原子の結晶体の中をふらふらと浮遊することになります。

 これがP型半導体というものです。電荷を運ぶキャリアはP(プラス)の

 第4族の原子です。


たとえば、シリコン(原子番号 14 )の結晶体に造る時にシリコンより

原子番号が1つ少ない アルミ(原子番号 13) や、アルミと同じ第3族

のボロン原子 B(5) を不純物原子として少々添加して結晶成長させると、

P型半導体という物質になります。


第3族原子のアルミ原子やボロン原子は、第4族原子のシリコン原子から

軌道電子を盗み、+イオン原子の状態(hole)となり、結果的にシリコン

結晶体の中をふらふらと浮遊し始めます。


その様子は、玉がぎっしりつまった箱の中に、1個だけ玉がなく、穴(hole)

があいた状態となり、その穴(hole)が、玉がぎっしりつまった箱の中を自由

に浮遊している様子に対応します。



この穴(hole)、つまり+に帯電したイオン原子の動きが、電荷の流れとなり、

シリコン半導体の中で電流が流れはじめることにつながります。この場合も

実効的にシリコン結晶体の抵抗値を下げて、電流が流れやすい状態を作ること

になります。


このタイプの半導体を慣例で P型半導体と言います。語源の歴史的な由来は

ボロンやアルミ原子は余分な電子を1つ受け取るもの(acceptor)として働く

ことになり、acceptor という文字の中の p を もじっPN型半導体とした

のが歴史的な由来です。(かなりのこじつけ?)


しかし、もっと理解しやすい方法は、この場合の電流のもととなるのは、

この場合、プラスの電荷 (positive charge) を持つイオン、つまり

シリコンの荷電原子ということで、その positiveの頭を取って、P型の

半導体とする方法です。




結論として、

   N型半導体では negative charge (電子)が電流を通す。
 
   P型半導体では positive charge (hole)が電流を通す。

ということになります。








すべてその性質は原子構造に由来するものです。


 III groupの原子 --> B(5), Al(13),Ga(31),In(49),Ti(81) 

  IV groupの原子 --> C(6), Si(14),Ge(32),Sn(50),Pb(82) 

  V groupの原子 --> N(7), P(15),As(33),Sb(51),Bi(83) 

VI groupの原子 --> O(8), S(16),Se(34),Te(52),Po(84)



●金属の物理モデルは、「水が入った器」モデルでした。


 実際には、常温では水面近くには、水の粒(分子)が水蒸気として少々

 存在します。そして、水の中から飛び出した水の粒(分子)の後には、

 瞬間的には空洞(hole)が生まれます。これが大きくなると水の泡に

 なります。「水が入った器」に光を照射し温めると、どんどん水は熱く

 なり、沸騰しはじめ、たくさんの水蒸気や泡が発生します。



●波長が短い程、光の粒(光子)の持つエネルギーは大きい。


 金属に波長の短い光(大きなエネルギーを持つ光子)を照射すると

 電子が飛び出すのを発見しました。


 しかし波長の長い光をいくら強く照射しても、つまり光の量を増やしても、

 電子は金属から飛び出しません。


 波長の長い光では、金属原子から飛び出すために必要な脱出エネルギー

 がまだ足りないからです。


 十分脱出エネルギーを手にした自由電子は、空間を自由に浮遊し移動します。

 しかも結晶体の中で、結晶体の原子核の引力圏の外では、自由に浮遊します。




●N型半導体では Negative に荷電した電子が電荷のキャリアです。


 N型半導体の物理モデルとして、「満タンの石油タンカー」モデルが

 あります。船の甲板が水面ぎりぎりで甲板が常に水分で濡れています。

 甲板を自由に水の粒が移動することができます。この甲板を自由に

 移動する水の粒(電子)が電荷のキャリアとなります。


 一方、船底は、水面からはかなり離れていて、水面近くにある泡は、

 船底付近では、ほとんど存在しません。



●P型半導体では Positive に荷電した半導体結晶の母体原子(hole)が

電荷のキャリアです。


 P型半導体の物理モデルとして、「空のの石油タンカー」モデルがあります。

 船の甲板が水面よりはるかに高いところにあり、甲板は常に乾いています。

 しかし、船底は水面に近く、水の泡が多く、自由に泡は船底を移動します。

 この船底を自由に移動する水の泡(hole)が電荷のキャリアとなります。

  
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Slide 21  PN接合の動作原理と太陽電池

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太陽電池の原理は、PN接合に光を照射させて電流を引き出すのが基本と

なります。イメージセンサーと太陽電池の動作原理はほぼ同じです。しかし、

受光絵素構造の個数と大きさが、太陽電池とイメージセンサーでは違います。





(1)順バイアスのPN接合 diode の動作原理


   順バイアスのPN接合では順方向電流がP領域からN領域に流れます。

   一方、電子の流れはその逆でN領域からP領域に流れます。


   P型半導体とN型半導体を接合して、PN接合という半導体素子を

   作ると、それは一般に diode とも呼ばれて、整流特性を示します。

   つまり、P型の端子を接地電圧(GND)として、N型の端子に、負の

   バイアス電圧をかけると、PN接合 diodeには 順方向電流が、

   バイアス電圧の値に対して、指数関数的にどかどか増えます。


   N型半導体には電子キャリアが多数存在しますが、P型半導体には

   電子キャリアは少ない状態にあります。


   N型の端子に、負のバイアス電圧をかけると、負の電圧端子の影響

   を受けて、負と負は反発しますので、負の電荷を持つ電子が、P型

   半導体の方へと流れこみます。これが順方向電流となり、我々は、

   電子の流れと反対の方向を電流の流れと慣例で決めていますので、

   この場合、P領域からN領域へと電流が流れることになります。


   その状態で光をこのPN接合に照射したらどうなるでしょうか?

 
  「船底」にあるシリコン原子に縛られていた軌道電子に光があたり、

   光からエネルギーをもらった軌道電子が自由電子となりシリコン

   原子核から飛び出します。原子核の引力圏からの脱出エネルギー

   の大きさが半導体の Energy Gap というものに対応します。

  
   また、その高さは石油タンカーの「船底」から「甲板」迄の高さに

   対応します。光からエネルギーをもらい、自由になった電子は、

  「船底」から「甲板」に飛び乗ります。結果的に、N領域に電子が

   実効的に1個増えることになります。



   電子が飛び出した後の「空間」には、泡(hole)が生まれます。


   その泡(hole)は、P領域に流れていきます。結果的に、P領域側

   の「船底」には、泡(hole)が1個増加した形となります。


   その結果、N領域からP領域への電子1個ぶんの電流(順方向電流)

   の移動がなくなったことになります。

 
   結果として順方向電流は光を照射すると減少することになります。




(2)NO バイアスのPN接合 diode の動作原理


   NO バイアスのPN接合では、通常は電流は流れません。


   その状態で光をこのPN接合に照射したらどうなるでしょうか?


   順バイアスのPN接合と同様に、この場合も、光の粒、すなわち、

   光子1個につき、電子と穴(hole)のペアが生まれます。


   電子はN領域側に移動し、穴(hole)はP領域に移動します。

 
   その結果、N領域からP領域に電流が流れることになります。


   もし、N領域に抵抗体Rを接続すると、その抵抗体からこの

   N領域の方に電流が流れることになります。光が照射された

   PN接合は電流を生じさせることなります。すなわち、これが

   太陽電池の原理となります。



(3)逆バイアスのPN接合 diode の動作原理


   逆バイアスのPN接合では電流はほとんど流れません。



   逆バイアスのPN接合では逆方向電流がN領域からP領域に流れます。

   一方、電子の流れはその逆でP領域からN領域に流れます。


   しかし、P領域では電荷キャリアはプラス電荷の穴(hole),つまり正孔

   となり、負の電荷キャリアである電子はほとんどありません。その結果

   P領域からN領域に流れる電子の数はたいへん少ないものです。その

   結果、N領域からP領域に流れる逆バイアス電流はたいへん少ないもの

   になります。つまり、逆バイアスのPN接合では電流はほとんど流れ

   ないことになります。

   
   その状態で光をこの逆バイアスされたPN接合に照射したらどうなる

   でしょうか?結果は明らかです。光が照射されるとN領域端子の方向

   に電子が生まれて流れ、P領域端子の方向に正孔(hole)が生まれて流

   れることになります。その結果、N領域からP領域に流れる逆バイアス

   電流の量が増加することになります。




  ●イメージセンサーでは、この逆バイアスされたPN接合に光を照射し、

   このN領域に光の照射により光電変換された電子を蓄積して、いろいろ

   な scan 方式 (CCD方式やMOS方式など)で 時系列信号として

   外部回路に出力します。

   

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Slide 22  埋め込みチャネル型CCDの構造と動作原理

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    CCD自身は受光素子構造としては不向きである。

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元来、CCDは電荷転送素子の1つの構造として提案された。CCDの役割は

信号の伝送のみをになう。しかし、目(網膜)から脳への信号伝達をする神経

線の役割をする転送素子として最終的にBBD転送が生き残った。


BBD転送は単純にバケツに入った水を次から次へと隣にバケツに移しかえて

いく操作に類似する。どうしてもバケツに少々水が残ることになる。完全に

バケツを空にしながら水を移すことが、BBD転送ではできない。



しかし、何回もバケツ移しをするわけでないので、最終的に生き残った。


CCD自身は受光素子としては不向きである。CCDは元来MOS構造の電極

を電荷蓄積用の容量として使用しており、金属電極は光を通さないので、鏡の

ように光を反射してしまい、光エネルギーを光電変換して信号電子を取りだす

ことはできない。イメージセンサーの開発では、常に感度が命である。


通常、埋め込み型CCD構造は、Metal/SiO2/N/P/N-sub 構造をしているが、

半導体の表面をおおう金属電極の為に、光が遮断され、埋め込みN層に光が

届かないので、この埋め込みN層の領域がつくる谷間に電子がほとんど蓄積

することができない。


金属電極では光は反射してしまい通過できない。したがって、CCDは人間の

網膜細胞に相当する電子デバイスとしては不向きであり、新たな構造の提案が

必要だった。



その答えは単純で、受光部はCCD構造でなく、通常のPhoto Diode構造を

採用することで解決した。 Interline 方式のCCD イメージセンサーも

MOSイメージセンサーも、初期は単純なPhoto Diode構造の受光部とした。

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Slide 23  SONY original HAD Image Sensor とは?
       また、Pinned Photo Diode とは何か?


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SONYのHAD ( hole accumulated diode ) Image Sensorと

一般に Pinned Photo Diode と呼ばれるものや、NECが

Buried Photo Diode と呼んでいるものはすべて同じものです。

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●電気容量はどうして造るか?


薄い絶縁体(SiO2)を2枚の薄い金属(AL)の板で挟むと電気容量Cとなります。

その薄い絶縁体(SiO2)の厚さを d とし、薄い金属(AL)の面積をA とすると、

容量Cは面積Aに比例し、厚さ d に反比例します。 C=εA/d となり、

この場合の定数εはその薄い絶縁体(SiO2)が持つ固有誘電率と呼ばれます。

この場合は、金属/絶縁体/金属(MOM)構造の電気容量となります。


CCD構造では、容量を金属/絶縁体/半導体(MOS)構造で作ります。

この構造では光を遮断してしまい、感度のいいイメージセンサーは実現

できません。



また、従来の単純なphoto diode、つまり逆バイアスされたPN接合では、

SiO2/N/P構造となり、SiO2/Nの界面の結晶性の不完全性がセンサーの

特性を劣化させます。そこで、提案されたのが、SiO2/P+/N/P/N構造

の、HAD ( hole accumulated diode ) sensor の受光素子構造です。



Pinned Photo Diode とも呼ばれます。P+領域がしっかりとある一定の

電位(Vhad)に固定できる構造になっていて、SiO2/P+界面には電界が

かからず、電気的に安定したSiO2/P+界面を実現します。


かつ、N領域は、埋め込み型のCCD(BCC)としても動作します。

すなわち、埋め込み型のCCD(BCC)の動作と同様に、この埋め

込みのN領域は、完全空乏化ができ、残像を完全になくすことが可能です。


P+/N接合容量(Chad) とN/P接合容量(Cnp)にはさまれた領域に光電

変換された信号電荷(電子)を蓄積可能です。かつ、金属電極を使ってい

ないので、光がN領域にまでしっかり届き、光電変換が効率よく実行され

ます。


1970年代当時、カラーテレビの信号処理用に開発製造されていた集積

回路(IC)には、P+/N/P構造の bipolar transistor プロセスが

使われていましたが、このHADセンサーのP+/N/P/Nsub構造はそれ

によく似た構造をしています。ただし、PNP bipolar transistorの

base領域に対応するN領域の濃度は、イメージセンサーの受光部の構造

として使う場合は薄くしており、その結果、N領域の完全空乏化が可能

となっています。BCCD動作と同様に、この埋め込みのN領域は完全

空乏化ができ、残像がなくなることになります。


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Slide 24 DRAMメモリ回路とMOS型 Image Sensorは同じ構造をしている。

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また、SRAM回路の各画素(Cell)の一部のみ光を照射し、各画素に対応する

Flip-Flop 回路の照度しきい値を調整すれば、内蔵 Static A/D変換機能

が実現可能となる。


chip size と歩留まり、(生産性と採算性)は強い相関がありますが、

歴史的に、イメージセンサー用の chip size は感度と画素数の要求から

小さくできなかった。DRAMやSRAMよりはるかに大きかった。


イメジャーのpixel sizeは感度を犠牲にしてまで小さくはできない。

一方、DRAMやSRAMは取り扱う信号が1か0のデジタルなので

微細化が順応して縮小化がイメージセンサーより急速に進んだ。


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そこで、萩原は、1975年、このCCDの欠点を補うために、SONY original HAD sensor を考案しました。

1984年にやっと自社開発に成功しました。その量産技術を世界に先駆けて確立しイメージセンサー
市場を独占制覇に成功しました。一方、その量産技術確立に失敗しイメージセンサー市場参入を
NECはあきらめました。この時点で、SONYのイメージセンサー市場での独走が確実となりました。

SONY original HAD sensor 構造を実現するには、CCDの主要技術のMOSプロセス技術だけでなく
HAD sensor 構造が、 P+NPNsub接合のサイリスタ―構造であることから、 Bipolar Transistorの
プロセス量産技術も不可欠でした。SONYは運よく、世界で最初にBipolar Transistorのプロセス量産
技術を確立し、世界の小型トランジスタ・ラジオの市場を制覇した歴史がありました。その経験が生か
されて、はじめて、SONY original HAD sensor 構造を採用した、世界発の超感度超低雑音の Image 
Sensor の開発量産化に、1984年やっと、SONYは成功しました。 

その道取りはきびしく、SONY社内でも、初期のHADsensor の開発にひるみ、安易な構造であった
透明電極で横型OFD型を主流とする方針が選択されていました。また、その構造で、ANA全日納入
実績があり、ジャンボ機への搭載実績もありました。あることに成功していると、なかなかそれに
こだわり、なかなか、新しことに挑戦できないのが、人間の心情でした。しかしそれでも、開発部隊
から離れて、ただ無力にも、萩原が見守る中、萩原が教育し指導してきた、若いSONYの開発技術者
仲間たちの手で、SONYの半導体TOPを説得し続け、1984年には、世界で初めて、SONY original
HAD sensor の開発・量産技術が確立しました










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Slide 25 イメージセンサに不可欠なSample Hold 回路とは?

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イメージセンサの生の映像信号(出力波形)は雑音だらけである。

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実際のイメージセンサの生の映像信号(出力波形)はいろいろな雑音の中に

埋まっています。その雑音を除去するために、sample hold 回路という

ものが必要となります。1画素を単位時間とした時間間隔のうち、ほんの

短い瞬間時間間隔だけ本当の信号が出ています。その本当の信号が出ている

瞬間だけ、信号の値を瞬時に取り出し、すなわち、瞬時sampleして、その値

を1画素を単位時間とした時間間隔の間、維持します。すなわち、sample

hold します。その sample hold 回路というものが必要となります。


実際には、NMOS transistor switchと容量 C を使って、単純な sample

hold 回路を構成することは可能です。雑音除去回路として機能しますが

このままでは、まだまだ不完全です。


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correlated double sampling 方式とは?  1972年の発明

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CMOS イメジャー が 有利になった理由は、 S/H 回路を3 つ使う手法 

すなわち、 correlated double sampling hold 回路の提案により、

雑音が激減したことによることが大きいです。( M. White,1972 )


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Slide 26 History of DRAM Cell and Photodiode Cell

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そこで、萩原は、1975年、このCCDの欠点を補うために、SONY original HAD sensor を考案しました。

1984年にやっと自社開発に成功しました。その量産技術を世界に先駆けて確立しイメージセンサー
市場を独占制覇に成功しました。一方、その量産技術確立に失敗しイメージセンサー市場参入を
NECはあきらめました。この時点で、SONYのイメージセンサー市場での独走が確実となりました。

SONY original HAD sensor 構造を実現するには、CCDの主要技術のMOSプロセス技術だけでなく
HAD sensor 構造が、 P+NPNsub接合のサイリスタ―構造であることから、 Bipolar Transistorの
プロセス量産技術も不可欠でした。SONYは運よく、世界で最初にBipolar Transistorのプロセス量産
技術を確立し、世界の小型トランジスタ・ラジオの市場を制覇した歴史がありました。その経験が生か
されて、はじめて、SONY original HAD sensor 構造を採用した、世界発の超感度超低雑音の Image 
Sensor の開発量産化に、1984年やっと、SONYは成功しました。 

その道取りはきびしく、SONY社内でも、初期のHADsensor の開発にひるみ、安易な構造であった
透明電極で横型OFD型を主流とする方針が選択されていました。また、その構造で、ANA全日納入
実績があり、ジャンボ機への搭載実績もありました。あることに成功していると、なかなかそれに
こだわり、なかなか、新しことに挑戦できないのが、人間の心情でした。しかしそれでも、開発部隊
から離れて、ただ無力にも、萩原が見守る中、萩原が教育し指導してきた、若いSONYの開発技術者
仲間たちの手で、SONYの半導体TOPを説得し続け、1984年には、世界で初めて、SONY original
HAD sensor の開発・量産技術が確立しました。













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Slide 27 CMOS digital 回路は消費電力が少ない

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CMOS inverter回路の水門モデルから「賢いセンサー」まで

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CCDイメジャーより CMOSイメジャーが有利になった理由は、低消費電力の
 
CMOSデジタル回路が使える為で、CMOS inverter回路特性から理解できます。


CMOS inverter回路は、NMOSトランジスターとPMOSトランジスター

の2つの種類のトランジスターを連結して構成します。入力電圧が接地電圧

(VG= GND = 0 volt )の時は、電子(negative charge)を電流の電荷

キャリアとするNMOSトランジスターはOFF状態にあり、電流が流れ

ません。また、入力電圧が電源電圧(VG=Vdd )正孔( positive

charge) を電流の電荷キャリアとするPMOSトランジスターはOFF状態

にあり、この場合も、電流が流れません。接地電圧(GND)と電源電圧(Vdd)

の丁度中間に位置する、このCMOS inverter回路のしきい値電圧(VT)の

値の時だけ、すなわち、デジタル回路では、0から1、または1から0に

信号電圧が変位する瞬間だけ、PMOSとNMOSの両方が同時にONとなり

瞬間電流がCMOS inverter回路に流れることになります。通常の論理値が

変化しない、つまり、回路の内部状態が変化しない時は、デジタル回路には

電流が流れないということになります。これが消費電力が少なく、CMOS

デジタル回路が「消エネ」で、広く実用化され普及している理由です。


かつCMOS inverter回路の入出力特性からも理解できますが、CMOS inverter

回路は、入力信号に入る雑音に強いです。これがデジタルテレビの画像は非常

に鮮明で、ノイズが全くなくきれいである理由です。放送局からは1と0の

信号から送られて来ませんが、途中で信号が劣化し、1である値が、たとえば、

0.6 になっても、CMOS inverter回路の論理しきい値(VT)の値を 1と0

の中間の値( VT= 0.5 ) としておくと、入力信号が 0.6 まで劣化して

いても、デジタルテレビの受像器側のデジタル回路はその入力値を1と解釈

することになります。CMOS inverter回路は、信号値の反転回路ですので、

その入力値を1と解釈して、その反対の0を出力することになります。


また、逆に、放送局から0の信号が送られても、途中で信号が劣化し、0で

ある値が、たとえば、0.4 になっても、CMOS inverter回路の論理しきい値

(VT)の値は 1と0の中間の値( VT= 0.5 )ですので、入力信号が

0.4 まで劣化していても、デジタルテレビの受像器側のデジタル回路はその

入力値を0と解釈することになります。CMOS inverter回路は、信号値の反転

回路ですので、その入力値を0と解釈して、その反対の1を出力します。




賢いイメージセンサーを支える技術は、CMOS とBipolar の融合技術でも

あります。


ここでBipolarトランジスターの動作について簡単に説明します。


Bipolarトランジスターの動作は、電子と正孔の両方がその動作に関わります。


N+PN型のBipolarトランジスターの場合、N+/P接合側のdiode 構造を、

emitter/base 接合diodeと呼びます。このN+/P接合diode が、すなわち、

emitter/base 接合が、順方向にバイアスされますと、すなわち、P領域が

N+領域より、少し正(positive)の値にバイアスされますと、このN+/P接合

に、P領域からN+領域の方向に、電流が流れることになります。実際には 

emitte 側のN+領域に存在する多数の電子(negative charge)が、真ん中の 

base領域のP領域に注入(emit)されることになります。


この emitter/base 接合、すなわち、N+/P接合diode は、軽く順方向電圧に

バイアス状態にしておきますが、もう一方の、お隣りの base/collector 接合

は、つまり、お隣りの N/P 接合は、強い逆バイアス状態にしておきます。



そうすると、emitte 側のN+領域から、真ん中の base領域のP領域に注入

された、多数の電子(negative charge)は、ほとんど、(お隣りのP/N接合、

つまり、base/collector接合が強い逆バイアス状態になっているので、)電圧

的には、「崖」から落ちるように、この多数の電子 (negative charge) は、

collector 側の電源電圧(強いプラスの電圧)に引き付けられて電圧の「崖」

を落ちて、N領域( collector 端子 )側に流れることになります。


その際、emitte 側のN+領域から、真ん中の base領域のP領域に注入

された、多数の電子(negative charge)のほんの一部の電子は、真ん中の 

base領域のP領域に存在する 正孔(hole)と 再結合し、熱または光に

なってそのエネルギーは半導体母体(シリコン結晶体)に吸収されます。

それが、N+PN型のBipolarトランジスターの base 電流となります。


順方向バイアスされたN+/P接合diode電流をemiiter 電流と言います。

逆方向バイアスされたP/N接合diode電流をcollector 電流と言います。


真ん中のP領域に入る電流を base 電流と呼びましたが、


 (emiiter 電流)=(base 電流)+(collector 電流)


の関係があります。


かつ、(base 電流)<<(collector 電流)の関係があり、


   β = (collector 電流)/ (base 電流)


の比をこのN+PN型のBipolarトランジスターの電流増幅率といいます。


このN+PN型のBipolarトランジスターの動作のたいへん複雑で、そう

簡単に理解できるものではありません。しかし、実際にイメージセンサー

はさらに複雑で、実際には、P+NPN型のPN接合を3つ持つ受光構造

を持ちます。その動作はさらに複雑な dynamic P/N 接合diode動作と、

dynamic P+NP 接合の transistor 動作と、dynamic P+NPN 接合の

thyrister 動作というものを重ね持つことになります。


かつ、さらにこのイメージセンサーの母体となる半導体チップに、別の

半導体チップ、CMOSのデジタル信号処理回路やA/D変換回路や

メモリ素子回路を搭載した別の半導体チップを物理的に張り合わせて

複雑な情報処理機能、人工知能機能も搭載した、賢いイメージセンサー

が実現することになります。


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Slide 28    賢いイメージセンサとは?

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当初は、長年、民生用のビデオカメラの商品化を目的に開発されてきた

イメージセンサーでしたが、今では、ロボットの電子の目としても活用、

されています。人工知能搭載の賢い目が実現しています。



自動走行車の賢いセンサーシステムとしても、医療機関や介護施設や

一般家庭用でのいろいろな特殊用途用の賢い電子の目となっています。

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Slide 29   賢いイメージセンサーとは超人的な威力を持った電子の目のこと

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賢いイメージセンサー実現のためのさらなる検討努力項目、より正確にものを見て、素早く認識する。。。

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●賢いイメージセンサーは、正確にすばやくまわりの動きを感じとる(感度)

だけでなく、雑音や不要な情報を排除し(フィルター機能)、必要な情報

だけを抽出加工し(情報認識)、人間支援のための知的処理を敏速に実行

する機能も同時に装備する必要があります。そのための、賢いイメージ

 センサー実現のための、さらなる検討努力項目がいろいろあります。


●Dark Current (暗電流)の低減努力

   (1)拡散電流

   (2)発生電流

   (3)表面リーク電流

   (4)トンネル電流


●量子効率の向上努力

   (1)素子表面での入射光の反射

   (2)小数キャリアの表面再結合

   (3)光電変換領域以外での光吸収

   (4)空乏層内でのキャリアの再結合


●雑音(ランダム)の低減努力

   (1) ショット雑音

   (2) 熱雑音

   (3) Avalanche過剰雑音

   (4) 1/f 雑音

   (5) reset雑音


●High Beam ( overflow, blooming )抑制機能



●固定パターン雑音の低減努力

   (1)Clock雑音

   (2)Amp Offset 雑音

   (3)画像欠陥(画素開口形状むら、

      Photo Diode 部暗電流むら、

      転送部暗電流むら)


●制御処理回路による性能改善努力

   (1) Correlated Double Sampling 回路

   (2) APS ( Active Pixel  Sensor ) 回路

(3) AMI ( Amplified MOS Intelligent )回路


●賢いイメージセンサー実現のためのその他の努力改善項目

    (1)PN接合容量に光を照射する

    (2)MOS増幅回路処理、ガンマ―補正処理

    (3)出力信号の選択処理

    (4)A/D変換回路処理

    (5)信号情報の記憶保存回路処理


などいろいろな複雑な検討項目がたくさん存在します。



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Slide 30   可視光でなく赤外線センサもたいへん重要である。
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赤外センサーを2個使った通行人カウンターシステムの例


霧の深い山道などでは可視光では前方が見えない。赤外線なら物体を認知できる。
自動走行車には可視光センサーだけでなく、赤外線感知センサーが不可欠である。

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イメージセンサー(賢い電子の目)にはいろいろな信号処理用の賢い回路が

必要です。CCDやMOSイメージセンサーを使わなくて、単純な赤外線

センサーを2個使うことにより、街中での通行人を数えたり、お客さまが

お店を出入りする様子を記録したり、道路を走る車の交通量や記録すると

いう単純機能の「通行人カウンターシステム」なるものが、デジタル回路

システムで組み立てることが可能です。


しかし、こんな単純機能を実現するためにもいろいろなデジタル回路が

必要となります。


(1)光伝導Cell(CdS)を使った赤外線センサー

(2)主電源や電池制御用や表示装置用の電源回路

(3)制御用 clock 発生回路

(4)赤外線センサーの出力を整成するPulseGen回路

(5)2つのpulseの時間差(どちらが早いか遅いか)を判定する回路

(6)pulseの数を数えるカウンター回路

(7)カウンターの数値(入退室data)記憶回路

(8)入室した人の数と退室した人の数を引算するSUB回路

(9)現在入室している人(SUB回路の値)と

   室内収容最大人数との比較回路 


などいろいろあります。


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Slide 31 人工知能回路搭載イメージセンサ (賢い電子の目)とは?

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家庭内監視支援システム (AIPS BOX) の例

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年をとっても、老人ホームに入ることなく、自分の家で、誰にも迷惑を

かけることなく、平穏に生活ができれば本望です。自分の家の居間で、

車いすに乗っていて、支援介護システムに守られた様子を想像してみて

ください。機械やロボットだけに守られた世界は、冷たいもので、歓迎

できるものではないかも知れませんが、せめて人の目がない時に、補助

的に、事故がないように電子システムが支援することは、すでに人工

知能搭載の自動走行車システムでも、実現しようとしています。同様に、

家庭内でも、事故防止や盗難防止、介護を必要とする人の支援システム

には必ずニーズがあります。そのためには家庭には部屋ことに複数の

いろいろなセンサーが必要となります。天井に複数個イメージセンサー

が装備された部屋を想像してください。床で遊ぶ子供や、眠っている

赤ちゃんを常に見守るイメージセンサーシステムです。イメージセンサー

から得られた情報を瞬時に real time で 認識処理する AIPS BOX

なるものが家庭の今の大型テレビの上に置かれている様子を想像して

ください。別に、今の時代、大型テレビの上に必ず置く必要はなく、

大型テレビに内臓していてもおかしくありません。また、NETには

通信速度の限界や、通信通路の混み具合により、応答が遅れる心配が

ありますが、NETで外部の Security 監視会社に常時つながって

いてもおかしくありません。


いずれにせよ、家庭で使うイメージセンサー(賢い電子の目)にせよ、

自動走行車用のイメージセンサー(賢い電子の目)にせよ、イメージ

センサー(賢い電子の目)にせよ、にはいろいろな信号処理用の賢い

回路が必要となります。特に、人工知能回路というものが重要な役割

を担うことになりますが、では、人工知能回路とはどんな回路なので

しょうか?


賢いイメージセンサー回路システムは人間 の頭脳と目の様な構造に

なると思います。人間が外の世界を見るとき2つも目を使います。

その理由は単純です。外の世界は3次元の立体です。その遠近情報

を real time で探知するためには、少なくとも2つの目が必要と

なります。同様に、人工知能システムが人間の世界を理解し、人間

を支援するためには、人間の世界、3次元の立体の世界を少なくとも

2つのイメージセンサーを装備する必要があります。


人間には、目、耳、鼻、舌、皮膚などのいろいろな感覚組織、つま

りセンサー組織があります。かつ、腕、足、手、指など、ロボット

では、それを actuator と呼びますが、いろいろな actuator が

複雑な動作を可能にしています。その動作を制御するのが、頭脳、

すなわち、大脳や小脳などですが、それ相当に対応し、動作する

人工知能回路を実現したいものです。


人間のひたいの部分、すなわち、おでこの部分、人間の脳で言えば、

脳の前頭葉には、「自分」という脳細胞の集合組織が、右脳と左脳

に、独立して2つ、実際には存在してます。


人工知能回路も、左意志回路(左の自分回路)と右意志回路(右の

自分回路)を装備し、それが脳の中心にある主幹共有通信制御回路

と連絡を取り合います。また、後部頭脳部分には、おのおの左右に

センサー情報処理回路が1つずつあり、その近くに運動制御指令を

つかさどる、小脳に相当する虫垂回路を装備します。


最終的には、actuator、すなわち、人間の腕、足、手、指、口の

筋肉等に相当するものに、この虫垂回路から指令信号が発信される

ことになります。




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Slide 32 裏面照射型 CMOS Image Sensorの実現まで

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表面照射型イメジャーから裏面照射型イメジャーの展望

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本題は、イメージセンサーの解説でしたが、眼球と比較して、頭脳

は、はるかに大きいく複雑であることは承知でですが、同様に実際

に賢いイメージセンサーを実現するためには、イメージセンサーの

本体よりも、はるかに大きくて複雑な画像情報を処理する人工知能

回路搭載の演算処理回路を装備する必要があることが理解できます。




最後に、表面照射型イメジャーから、裏面照射型イメジャーの展望について

説明します。裏面照射型イメジャーは、単純に採光面積効率を向上すること

ができただけではありません。


表面照射型イメジャーでは、レンズ系の下には、すぐ処理回路層があり、

受光素子層が一番半導体チップの奥深くに位置しますが、一方、裏面照射型

のイメジャーでは、レンズ系/受光素子層/処理回路層の順番となり、処理

回路層の隣に、いくらでも、別の複数の処理回路層を追加することが可能

となりました。


実際、イメージセンサーの chip 構成は、まず、イメージセンサーのchip

1枚から、ADC ( A/D converter回路 )の chipとの2枚張り合わせ

構成になり、さらに、その下に、3枚目の processor chip が重なり、

さらに、その下に、memory chip が多層に重なる構造に進化していきまた。


裏面照射型イメジャーは、単純に、採光面積効率を向上することができた

だけではなく、今後いろいろな人工知能を搭載した情報処理回路をいくら

でも装備搭載できる可能性を生み出したのです。





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賢い電子の目の実現のための2つの基本特許 (1975年萩原の発明特許)です。

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1972年の萩原が大学(CalTech)時代にIntel社とCalTechとの産学共同研究で開発した 128 bit 並列高速 digital dara 比較回路の
設計と試作結果を学会誌に報告したものです。高速並列処理による画像認識、音声認識、一般デジタル情報の比較認識エンジンとして
たいへん重要な存在でした。このデジタル集積回路の設計プロジェクトの経験を生かして、萩原はSONY入社後、CCDの設計だけでなく、
SRAM、DRAM,ADC およびPS2とPS3のゲーム用processor の設計の技術指導官として若手技術者を育成しSONYの発展に
60歳定年まで最後まで技術者として貢献しました。その後、熊本市にある崇城大学の情報学部の教授として人工知能パートナーシステム
を支える半導体集積回路の研究に取り組みました。もう萩原は70歳となり、今は昔を振り返って、いろいろとこのHomePageに70歳じじい
のつぶやきとして、昔のたのしかったいろいろな、青春時代の思い出としてヒマな時間をつかっていろいろ煩雑に記述を繰り返しています。

























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            参考文献

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参考書名 人工知能パートナー(AIPS)を支える   

      デジタル回路の世界 

        ISBN 978-4-88359-339-2 C3055

           本体 9000円+税 

   B5サイズ 上製 475ページ (ハードカバー)

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         書籍の出版社の紹介  

     TEL: 042-765-6460(代)     青山社

      https://www.seizansha.co.jp/ISBN/ISBN978-4-88359-339-2.html 



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最後に、

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       半導体産業の発展と特許の役割について

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日本の家電の大手のPanasonic(松下電機産業)の源点は創設者の
松下幸之助さんが「ふたまた電球」の発明特許を出願しその事業化
に成功したことがはじまりと言われています。世界の高級家電大手
のSONY(東京通信工業)の源点は創設者の井深大さんが米国の
ベル研究所で発明されたトランジスタの潜在価値を世界でいち早く
見抜きその特許使用権を購入し小型トランジスタラジオの事業化に
成功したことがはじまりと言われています。SONYはさらにカラーTV
のトランジスター化にいち早く取り組み、米国のTI社から Bipolar
transistor の集積化技術(キルビー特許)の潜在価値を、これも、
世界でいち早く見抜き、その特許使用権を購入し、小型カラTVの
事業化に成功しました。さらにSONYの創設者の盛田昭夫さんの
義理の弟だった岩間和夫さんが、米国のベル研究所で発明された
CCDの潜在価値を世界でいち早く見抜き、その特許使用権を購入し
CCDビデオカメラの実用化にいち早く取り組み、それが源点となり
基礎となり、SONYは世界で現在 CMOS image sensor の市場を
制覇する勢いとなりました。世界の高級家電メーカとしてSONYを
長い間支えてきたのは、まずこれらの産業特許の権利化に取り
組んだ技術系の経営者の存在があり、さらにその事業化に貢献
した多くの勤勉な半導体開発・生産技術者の存在があります。

世界の半導体 TOP の Intel 社の源点は、MOS トランジスタの
製造技術特許 ( イオン打ち込み技術による Polysilicon 電極
との self-sligning による Source と Drain 領域の形成技術)
にあります。それを武器に、MOS トランジスタによる小型半導体
メモリ(DRAM)の事業化に成功し Intel は発展しました。さらに、
Intel 社の創設者の Gordon Moore 氏は、MOS 集積回路の
微細化技術の進化を見通し、MOS トランジスタの scaling 則を
基本とする、Intel Processorの事業化に関する将来 vision を
確実なものとしました。この MOS トランジスタの scaling 則は
強力で、最終的には、CCD image sensor 市場をも奪い、現在、
CMOS image sensor が市場を制覇する勢いとなりました。

世界の半導体産業の発展を長い間支えてきたのは、これらの
産業特許の権利化に取り組み、その将来 vison を持ち、強い
指導力 ( leadership ) を発揮した、技術系の経営者の存在が
あり、さらにその事業化に貢献した多くの勤勉な半導体開発と
生産を担った技術者の存在があります。創造力と勤勉努力の
2つの力の結晶が産業の発展の源点です。どちらが欠如しても
産業の発展は実現しません。

将来の日本の産業、半導体産業の発展の鍵は人工知能です。

人工知能には、まず 第1 に、外の世界を感知す為にセンサー技術
の発展が必要です。第2 に、感知した情報を一時記憶する半導体
メモリー技術の発展が必要です。 第3 に、その記憶情報を高速に
並列処理するプロセッサ技術の発展が必要です。そして、最後に、
その強力なプロセッサーの演算を効率よく実行する手順 algorithm
を定義した software 技術の発展が必要です。

人間が知能を持つのは、まず物理的に高度に進化した頭脳という
hardware を保有し、この世に誕生してから いろいろと教育を受け、
学習し、知能(知識と知恵)という software 持つことが必要です。

人工知能も、まずしっかりした hardware を保有し、その上で効率よく
実行する手順 algorithm を定義した software 技術の発展が必要です。
 

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   萩原良昭 ( pinned photo diode の発明者) の略歴

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1948年7月4日京都市生まれ。1961年京都市洛星中学入学。
1965年京都市洛星中学を渡米の為中退(17歳)。米国の
カリフォルニア州 Riverside市の市立技術工業高校である
Riverside Polytechnic High School に高校2年生で編入。
高校3年生の時、飛び級で、Riverside City College の
大学2年生の数学の授業を受ける。1967年 Pasadena市の
California Institute of Technology ( CalTech )に入学。
1971年BS、1972年MS、1975年PhD博士の学位を受ける。

1971年の夏と1973年の夏に一時帰国し、その時に大学院の
留学生(前田さんと樋口さん)の紹介でSONYの厚木工場で
実習生として勤務し、当時カラーTV用の信号処理 Bipolar
ICの信頼性技術と Bipolar Transistorのプロセス技術を学ぶ。


博士論文のテーマは当時脚光を浴びていた「埋め込みchannel
型CCDの完全空乏化電荷転送のメカニズムの関する解析」に
ついてであった。その研究成果は、computer simulation 動画
の形に、母校 CalTechのジェット推進研究所(JPL)のコンピュータ
システムを使い computer animation として仕上げ、1974年の
2月に 米国 Philadelphiaで開催の半導体集積回路の国際学会の、
ISSCC1974で発表した。その1年後、母校Caltechで博士課程を
終了し、博士課程の最終口頭論文試験に合格してすぐ、6月の
卒業式を待たず帰国。当時、SONYの技術担当副社長で、米国の
SONY America の会長を兼務していたの岩間和夫氏は、未来の
家庭用ビデオカメラの研究開発を会社の重要テーマとして位置づけ
していた。その開発部隊の技術者として期待され、岩間和夫氏との
個人面談のもと、入社試験も受けず、岩間和夫氏の一言で入社が
決定され、1975年2月20日SONYに途中入社し、横浜中央研究所の
情報処理研究室に配属され image sensor とそのビデオカメラ
システムの開発研究部隊の一員として勤務することになった。

入社後すぐ image sensor の半導体受光構造に関する特許を
出願した。1975年11月10日その日本国特許が公式登録された。

社内での出願当時は、萩原はまだ母校( Caltech )の学生でも
あり、かつSONYの社員でもあった。従って、この特許は正確には、
SONYと母校のCalTechの両者が工業権を主張できる性質のもの
であるが、当時は、今ほど特許の醜い利害関係をどうこうすることは
ほとんどまだなかった時代であった。特許が防御特許として登録され、
発明者の名誉が守られ、また特許権保有の企業としても、特許が
出願され申請登録されることにより、自社の、その特許を使った製品
の事業化が、他社からの攻撃を受けず保護されれば、それだけで、
特許出願の役割を果たすことになると考えられていた時代だった。


当時、CCDは完全空乏化電荷転送装置として脚光を浴び、
その成果は、高性能 CCD image sensor の実現により、
そのCCDの発明者のノーベル賞の受賞となった。

萩原は、このCCDを学生時代の博士論文のテーマとしていた事もあり、
このCCDの完全空乏化電荷転送のすばらしい特徴に注目していた。

しかし、CCDは本来MOS構造で金属電極を持ち、金属は光を遮断し
反射するので光感度がよくなかった。ビデオカメラは感度が命だった。

そこで、超感度のビデオカメラの開発を担当していた萩原は、SONY
での過去の実習経験をヒントに、CCDだけでなく、従来の bipolar 型でも、
このCCDだけだと思われていた完全空乏化電荷転送が可能である
ことに気づいた。そして、それをすぐに発明特許にまとめ出願した。

さらに、より超感度の受光素子構造としては、CCD受光構造よりも、
むしろ、この bipolar 型の受光構造が有利であることに着目した。

それが 1975年萩原考案の pinned photo diode の発明特許である。

萩原は1971年と1973年の夏にSONY厚木工場のカラーTV用の
信号処理 Biploar トランジスタの製造ラインで信頼性技術の
実習生として指導を受けていた。その経験をヒントに特許を考案。

Biploar トランジスタの信頼性問題(サイリスタ動作による latch-up
誤動作)を学んだ時のBiploar トランジスタの構造をそのまま半導体
受光構造としても、完全空乏化電荷転送が可能であることに気づいた。

さらに、より超感度の受光素子構造としては、CCD受光構造よりも、
むしろ、この bipolar 型の受光構造が有利であることに気づいた。

CCD構造ではMOS容量型で上部に金属性の電極が必要で、金属は
光を遮断・反射するので超高感度の受光素子には絶対になり得ない。

従来型の N+P接合型の photo diodeの受光素子の方が感度の良い事は
当時ではすでに周知だったが、N+層は、NMOS トランジスタの Source
とDrain 領域の拡散層の濃度で、金属コンタクトを取るために濃い濃度N+
が採用され、それをそのまま受光構造としていたので残像がひどかった。

受光部を、すなわち光電変換された光電子の蓄積部を、バケツにたとえ、
かつ、光を光電変換して発生した光電子を、水にたとえると、そのバケツに
たまった水を完全に転送し、バケツを、完全には空にはできなくて、転送
残りが生じ、それが残像の原理となっていました。

しかし、萩原は Biploar の IC 技術に少し手直しすることで、転送残り
のない受光部が実現できると気づいた。


萩原は、基板NsubにP+NP接合型のBiploar トランジスタを形成した
プロセス技術、SONY厚木工場で製造していたBiploar の IC 技術に、
少し手直しすることで、転送残りのない受光部が実現できると気づいた。

そうすることにより、より超感度でかつ完全空乏化電荷転送が可能と
なることに気づいた。すこしの手直しとは、当時のP+NP接合型の
Biploar トランジスタの base領域の濃度をうすくすることでした。

当時すでに周知の埋め込みチャネル型CCDの埋め込みN層の濃度と
同じ程度に薄くすることでした。


埋め込み型チャネルのCCDと同様に埋め込みN層と同じ濃度にして、
その結果、P+NP接合型のBiploar トランジスタのbase領域のN層の
濃度を薄めることにより、P+NPNsub 接合型の受光素子構造でも、
受光層Nの完全空乏化電荷転送が可能であることに萩原は着目した。




萩原は、1975年SONY入社して間もなく、発明特許出願し、その特許は
1975年11月10日に公式に日本国特許して申請登録された。そして、
その時、SONYの pinned photo diodeの工業特許権利が確立した。

SONYは、その後生産技術の確立に合わせて、商標を登録し、生産展開し、
SONY original HAD 搭載の超感度 image sensor の brand が誕生した。

SONYは、萩原の特許に守られ、ビデオカメラの世界市場制覇することとなった。

そしてその勢いは今でも続き、超感度、低雑音、低暗電流、残像なしで、
高速アクション画像を提供する、SONY original HAD sensor 技術搭載の
CMOS digital image sensor 技術として、後進技術者に継承されている。


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これは、その image sensor の基本となる萩原発明の半導体受光構造のお話です。 


すなわち一般に pinned photo diode と呼ばれる半導体の受光構造です。

また、SONYでは Sony original HAD sensor として商標登録されました。

pinned photo diode とSONYの Sony original HAD sensor は同じものです。


CCD image sensor の事業化に大きく貢献しました。そして、現在も、

Sony original の HAD sensor 搭載の CMOS imagesensor として貢献しています。 



これは、超感度・低雑音・低暗電流で、残像のなく、高速 action 映像を可能とする、

高性能 image sensor の基本となる、萩原1975年発明の半導体受光構造のお話です。















































あとがき


さて、先日の10月19日金曜日、SONYのご厚意で、厚木テックでの、
今年も、恒例(高齢)のSONY半導体OB会が開催されました。
会員が350人のところ150人が、午後3時半から集結で夜8時まで
のお酒を入れた立食パーティ風の懇親会開催の前に、記念写真の後、
OB会の会計報告とSONYの半導体ビジネスの現状と展望について
会社の現役後輩社員の清水さん(と言いても本社の常務取締役で 
SONY Semiconductorn Solution Corporationの社長さんですが
その偉い方から)力強い説明をうけました。



最後に、OB会のメンバーの1人の米村さんが1つ質問しました。

「今の日本の半導体で、元気なのはSONYだけ?東芝のメモリーも
身売りの話がでて、なぜSONY半導体は今でも元気なのですか?」と
その理由についての質問でした。清水さんの適格な返答は、「今の
SONYの半導体があるのは半導体プロセス生産技術が一番大きな
要因・原動力だ。」とおっしゃいました。私もその通りだと思いました。


SONYはかつて世界があきらめ全くものになるはずがないと思われていた
トランジスタの量産技術を歴史あるソニー厚木工場で確立しました。


ソニー厚木工場は歴史的にも世界で初めての半導体量産工場です。

また、私が1971年に大学を卒業して日本に夏休みだけ遊びに一時帰国して
ソニー厚木工場を訪問しました。実は、SONYの創設者の井深さんの親戚
の方と知り合いで、CalTechに在学中に彼も留学生で同じ学部の大学院生
でした。彼は珍しくもEEでCalTechでPhDをとり再度医学に進みMedical
Doctorの称号を取り、お医者さんとして帰国後お医者さんになった方で、
その方のの紹介でSONYを夏休みに訪問見学することになりました。

当時、ソニー厚木工場はトリニトロンTV用に信号処理用 bipolar transistor
IC ( CX081〜CX089Series ) の量産立ち上げの最中でして、そので私は学生
実習生として1971年の夏3か月間ソニー厚木工場で岡田寮に宿泊していました。

目的は東京周辺見学のためにソニーに宿泊施設を提供してもらうのが私に
とっての最大の目的でしたが、、、しかし、ソニー厚木工場を見学してびっくり
しました。私の大学の先輩に Intel の創設者のDr. Gordon Moore がいます。

また、大学院の私の研究指導官の Prof. C. A. Mead とDr. Gordon Moore
のお二人は二人とも CalTechの卒業生で在学時代からの親しい友達同士でした。

それでまだベンチャー会社だった Intel 社を私も 産学協同プロジェクトが
あり、行き来したことがあり、米国の最新鋭の PMOS transistor のプロセス
製造ラインを見ていました。しかし、1971年SONYの厚木工場を訪問して
びっくりしました。日本にも最新鋭の半導体工場があると。それも当時
米国TI社と集積回路の基本特許(キルビー特許も含む)の包括契約をして
いて米国TI社と半導体プロセス製造技術で技術提携していたとのことです。

SONYは見る目がある。トランジスタ特許使用権利を格安の当時の値段の
500ドルでベル研から獲得し、TI社からも格安で集積回路の特許使用件を
獲得しました。後に、日電・三菱・日立・東芝の日本の半導体勢力はDRAM
の生産で、TI社のキルビー特許により、膨大な特許使用料、合計すると
8000億円〜1兆円が日本が米国に支払われたとのうわさもあります。


しかし、私は1971年SONYの厚木工場を訪問してびっくりしました。

まだ32歳だた宇野義道主任(後のソニー長崎工場長など歴任)に、「ここは
東洋一の半導体大規模生産工場だよ。」と説明を受けました。彼が私の実習の
指導官でした。私はあつかましくも、1971年と1973年に厚木工場に日本に
夏休み帰国していたとき、宿泊施設にソニー厚木工場の岡田寮を使い、名目、
ソニー厚木工場のプロセスラインの実習生として勤務していました。

SONY半導体OB会での清水さんの話を聞いて、昔のソニー厚木工場内の
プロセスラインをはじめて見学して驚いたことを思い出していました。

1971年の夏休みのことでした。SONYの半導体プロセス生産技術は世界の
歴史を築いた主役であり、その主役の座は今でも世界の CMOS digital image
とその周辺信号処理回路の設計・開発・生産技術者によって一丸となってに
守られ維持されています。その主役はSONY original sensor の試作とを担当した
鈴木ともさんであり、CCD のimage sensor の量産プロセスでがんばった上田さん
であり、SRAMとPS3のchip の量産プロセス立ち上げでがんばった清水さん
であると私は自負しています。みんな私のかわいい後輩です。

若い次の世代がSONYの今の半導体を盛り上げてくれていてこころ強く
感じました。しかし、私ももう70歳になりました。長年お世話になった宇野
さんももう81歳です。今年もOB会で元気に顔を見せていただきましたが
毎年来年会えるかな?とお話して今年もお別れでした。今年のOB会には
たいへんお世話になった川名さん、加藤さん、山崎さんは欠席でした。

いつもたいへんお世話になっていた、もとSONY(株)専務で
半導体のTOPでもおられた河野さんが亡くなられおられません
でした。現役時代萩原もたいへんお世話になった方でSONY
のトリニトロンTVの開発生産の最高責任者でもおられました。
また、CCDのプロセス立ち上げで大活躍されていた阿部さん
とCCD生産で国分工場で指揮を取っておられた小笠原さんの
お二人も亡くなられ、3人のたいへんお世話になった方々の顔
がなくたいへん寂しく感じました。

先日11月21日にもと東北大学学長の「ミスター半導体」で知られる
西沢潤一教授が92歳でお亡くなりになられたと新聞で知りました。

学会でしか私はお会いすることがありませんでしたがいつも私には
ニコニコしてよく親しくお声をかけて下さいました。私が1973年に
SONYでVFETの試作とその信頼性試験の実習をしていたお話を
したら目をきらきらしておられました。PIN diode の発明者でもあり
新幹線の送電システムや携帯電話などの通信に広く今活躍しています。
またLEDの出力が昔は貧弱だったのを今の様に照明機器や昼間の
信号機にも使える程までに強力なものに改善されたのも西沢教授の
業績です。私の大学時代のPhDの指導官だった Prof. C. A. Meadも
LEDの研究をされていて、また私の発明の Pinned Photo Diode も
西沢教授の発明の PIN Diode とよく間違えられ、いろいろ西沢教授
とはご縁あるかたです。私がISSCCなどの学会で活躍している姿を
見て、「萩原さん、会社でちゃんと仕事しているかね?ほされているのでは?
会社で仕事しないで学会に来ている教え子を見ると、会社でちゃんと
楽しく仕事しているのか心配になるのでね。萩原さんも実はどうなの?」
と厳しいコメントをもらった記憶があります。当時はSONYは米国 Fairchild
との Pinned Photo Diode 特許にかかわる特許戦争(1991〜2000)で
たいへんSONYは深刻な状態でした。私も会社ではどうころぶかわからず、
米国からの留学生でもあり、米国の陪審員の感情を逆なですることを避ける
ためにも静かに会社でも目立たず静かにしていた時期で、ただ技術情報の
収集と自分自身の勉強はしっかり続けていた時期でした。会社ではほされて
仕事がもらえない状態(技術企画室の茶坊主)でした。西沢教授はそんな
私の心を見抜いた、やさしいお言葉をかけて私を元気づけてくれました。
西沢教授のご冥福をお祈りします。





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